偏愛主義

難解な数式を愛する友達が、

   好きで解いてるんじゃないんです。
   数式なんて、理不尽なんです。
   やらされているんです/強制。」


と、ぼくに言うので、/


キョーセー キョーセー キョーセー 
と復唱してみても、彼の言いたい事    
なんて、分かりっこなかった。
彼って、昔っから変っていたの。
そうなの?/かもね


彼の部屋の中 虫かごが、

   蛾だか蝶だかわかんないやつが、無数
   の やつが うじゃうじゃ うじゃうじゃ 
   が 近親相姦?/そうかな        


彼は
  お母さんが好きです。
  お父さんが嫌いです。
  数式は強制です。  
  虫は抑制です。」      


ねぇ、こぼれてる液が、 乾燥しているの  昆虫。 彼は華麗な手さばき
で、展翅/展脚していく昆虫の 動き/うめき。離して!ぼくの手を、それっ
てキョーセーってやつ?/そう。


崩れないように そっと、触れて羽 に撫でて 怖がらなくていいの。彼が殺
した?家族を? しょーがいないよ。どんまい。虫は逃げないよ それもキョ
ーセー ほんとう? コレが昆虫標本ってやつ
   
   また解かなければならないのですか。
   数式を。               
   標本の羽に触れるように、丁寧に。
   数式を。
   答えなんて要りません。
   とにかく解かせて欲しいんです。
   数式を。
   ああ 開かれていく 羽が脚が
   もう限界です。
   虫は抑制です。」


彼が殺した。家族を。どうやって? しーらない。ぼくが後ろから抱きしめた
彼を これでまた とじられたの。これもキョーセー?怖がらなくていいの、
ぎゅっとぎゅっと抱擁してあげるから彼を。

   お母さん僕の子を妊娠してください。
   お父さん僕を自由にしてください。
   早くしないと、虫たちの羽が脚が
   くしゃくしゃになってしま、う。
   そんなつもりはなかったんです。
   教えてください。
   ブランウン管って強制なんですか。」


彼は殺した
家族を